四季折々(日々彦の文芸欄)

日々彦の詩歌句ノート、随筆、講演、紀行文など

◎第一回のワクチン接種「四季折々」(2021年5月30日~6月5日)

〇病とともに「四季折々」(2021年5月30日~6月5日)

(30日)〇緊急事態宣言の延長に思う。

 政府は28日、31日に期限を迎える9都道府県に発令中の新型コロナウイルスの緊急事態宣言を6月20日まで延長すると決めた。医療の提供体制や変異ウイルスの感染拡大を踏まえ判断した。菅義偉首相は28日の記者会見でワクチンに関し、6月中旬以降は1日100万回接種できる体制が整うと表明した。

 延長するのは北海道、東京、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡の9都道府県。23日に加わった沖縄県とあわせて6月20日までの宣言地域は10都道府県になる。

 4月25日に東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で始まった宣言の延長は今回で2度目になる。政府は6月20日の宣言期限までにワクチン接種の回数を積み上げ、感染拡大の抑止を狙う。

 昨年から3度目で、今回のように期間が伸ばされて、いい加減だれてきて、あまり身に迫ってこない。わたし自身は今までとやることは変わらない。

 ただ、影響をこうむる方々には、経済支援、休業補償などは重点的にきちんとしてほしいと願っている。

・梅雨湿り無為のいちにち心足り

 

(31日)〇胎児期から人類の未来までのヒトの発達

 二人の孫(姉2歳7ヶ月、弟9ヶ月)を短時間ではあるが見守る暮らしが続いている

 二人の孫のぎこちない動きが徐々にしっかりとしてくるのと、双曲線を描くようにわたしの体がぎこちなくなることもあり、「老」と「幼」の対照的な在り方など、いろいろな思いが出てくる。

  弟が出来たことで、2年ほどの違いがあるお姉ちゃんの育ちを振り返ることもあり、乳児の育ちを複合的に見ることができ、また、孫の育ちの観察から、人が育つとは、心(脳)はどのように発達していくのだろう、社会性を身につけるのはどのようなことなのだろう、などいろいろ考えるのは面白い。

  それに伴って、その関連の書籍に触れることが多く、明和政子『ヒトの発達の謎を解く ─胎児期から人類の未来まで』を読み、なるほどそうだなと感じることも多かった。

  本書は、著者自身が経験した子育ての苦悩があり、比較認知発達科学をはじめ各分野の研究成果や研究所仲間の力添いも踏まえて、2019の段階で、その成果を書き記したものである。

 「あとがき」で次のように述べる。

《ヒトは個人というスケールで、歴史というスケールで発達するということを正しく理解すること、それを社会で広く共有してもらうことで、人類の未来をともに考え、創りあげていくことに繋げていきたい。》

 子育てに直面している人はむろん、胎児期から人類の未来までのヒトの発達に関心を寄せる方々にとって、考えさせられる内容に富んでいる好著と思う。

・青嵐海にはじまる人類史

 

(6月1日)〇明和政子『ヒトの発達の謎を解く』より①

 本書で著者はおもに次の二点を考えていく。

 ひとつめは、現代社会において急増する子育てにまつわる問題――発達障害の急増や児童虐待、産後うつなど育児や子育てにまつわるさまざまな問題、少子化、若年層の精神疾患の急増などの背景にある本質を正しく理解すること。

 そのための目的に、「ヒトとは何か」「ヒトはどのように進化してきたのか」といったヒトの本質を理解することを第一に挙げる。

 もうひとつは、人類の未来への責任を、今を生きる世代として果たすこと。

 本書の第一章「生物としてヒトを理解する」で、ティンバーゲンの「4つの問い」をベースに人間の心がどのように獲得されるのか、発生発達の視点や、進化の視点が取り込まれている。

  ティンバーゲンは、動物の行動を完全に理解するためには多様な領域からのアプローチが重要であると、「4つの問い」を提唱した。

➀ある生物の行動が引き起こされている直接的な要因は何だろうか?(至近要因)

②その行動は、どのような機能をもって進化してきたのだろうか?(究極要因)

➂その行動は、その生物の一生の過程で、どのような発達をたどって獲得されるのだろうか?(発達要因)

④その行動は、その生物の進化の過程で、どの祖先型からどのような過程をたどって獲得されたのだろうか?(系統進化要因)

  著者は、その「4つの問い」をベースに、「心のはたらきは、生物が持つ身体が環境と相互作用を繰り返すことで生まれる」そして「ヒトの発達は、『連続的』で『多様』である」と述べる。

 ・玉の汗全身つかふ吾子の泣き

 

(6月2日)〇明和政子『ヒトの発達の謎を解く』より②

「連続性」については、ヒトは胎児の頃から学習する存在で、特に「触覚体験」は、胎児期からの脳の発達を促す重要な役割を担っていて、進化の所産である身体という物理的制約に基づいて、環境に適応的な知性が生みだされる。

 「身体性」が、知性が生まれる根幹であり、子育てにおいては身体の触れ合いが基本となる。

  ヒトの身体感覚には3つの感覚がある。1つめは『外受容感覚』(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)、2つめは『自己受容感覚』(荕・骨格・関節から生じる運動感覚、前庭器官により生じる平衡感覚)、そして3つめは『内受容感覚』(自律神経の感覚を含めた内臓状態の感覚)と呼ばれる。

 養育者の授乳や抱くことなどで、乳児の「内受容感覚」が心地よい状態となり、母親から微笑みかけられる(視覚)、声をかけられる(聴覚)などの「外受容感覚」を与えられる。こうした経験をくり返すことで、乳児の脳には記憶が生じる。母親の顔や声、匂い、肌触り、を感じるだけで母親の存在が概念として浮かび上がる。

  外受容感覚、自己受容感覚、内受容感覚の三つの身体感覚を、環境と相互作用する過程で同期的・連続的に経験していくことで、自分の身体が自分のものであるという自己意識が生まれてくるという。

  自己意識は「予測ー照合ー誤差修正」という神経システムを持っている。人間は対人関係の中で、予測を行ない、予測誤差を検出し、予測を随時修正し、予測を常に更新していく。

 また、子どもとの身体接触を介する触れ合いによって、養育する側の脳と心も可塑的に変化するという。

 ※詳細はブログ・日々彦「ひこばえの記」に掲載。

・抱く吾子の頭に手傘走り梅雨

 

(3日)〇信頼関係と身体感覚

 山極寿一は「信頼のある人間関係を紡ぐ」には、嗅覚、味覚、触覚などが大事であると述べている。

《人間は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を持っています。このうち、科学技術によって拡大されたのは視覚と聴覚です。なぜなら、人間が生活する集団の規模が巨大化するに従い、情報を処理する能力を高める必要があったからです。しかし、人と人とを結びつけていたのは. 視覚や聴覚ではなく、そのほかの嗅覚、味覚、触覚なんですね。それを使ってでしか、人間は. 信頼関係を紡ぐことができません 。

 視覚や聴覚は情報は伝えますが、信頼を伝えることはできません。家族が崩れ始めたのは、いろいろな原因があるのでしょう。少子高齢化で共同の子育てが物理的に困難になったこともあるでしょうし、ファストフードや中食ができて、自分の好きなものを自分勝手に食べることができるようになり、みんなで一緒に食べるという社会的な空間がなくなったこともあるかもしれません。しかしいちばん大きいのは、コミュニケーションが変わったことだと思います。スマホやインターネットなどの電子空間でつきあうようになって、 家族が見えなくなり、見えるのが仮想的な集団だけになってしまうと、人間社会は大きく変わるとわたしは予想しています。

 家族、あるいは地域社会というものが見えなくなると、個人の行為は、どうしても効率化・ 経済化・機械化の方向に向かわざるを得ません。家族という、えこひいきが当たり前の、見返りを求めない奉仕をするような集団がいなくなると、人間同士は利害関係で結びつくようになります。つまり、共感能力を使って築いた信頼関係ではなく、自分の利益を高めてくれる相手と一緒にいたり、自分たちの利益をおとしめる人は排除したりする傾向が強まる。そうすると 社会が閉鎖的になっていきます。今のアメリカ社会が直面しているのは、この閉鎖した社会へ の移行だと思っていますが、日本もそうならざるを得ないのではないかという気がします。》

(山極 寿一「人間家族の由来と未来 ― ゴリラから AI まで」より)

 視覚、聴覚は脳で理解する機能に優れているが、嗅覚、味覚、触覚は身体感覚が受け止める要素が大きいのではないだろうか。幼児の成長段階に限らず、人と人との信頼関係は身近に交流することによる身体感覚によってより一層促進されているように思う。

・人類はもろくたくまし暁の星

 

(4日)〇昨日、第一回の新型コロナワクチン接種をする。

 居宅から電車など利用して1時間ほどの集団会場に到着。

 福反応のこともあり夫婦の接種は別の日がいいらしいが、妻なしで遠くに出かけることの難しい今の私の身体状態から、一緒の日に受けることにした。

 各種手続きをして、ファイザー製のワクチン接種を受ける。通常の注射に関しては多少緊張を伴うが、それすらもなくあっという間に打ち終える。その後15分副反応の確認で、その場に残るが、特に変化を感じずに終わる。

 妻は以前アレルギーを起こしたことがあり30分の確認で、特に何もなかったという。一日経過しても、二人とも特に変わったところはない。

 中には、副反応を起こした方がいて、係の人が寄って、いろいろ調べていた。

 全体に至れり尽くせりの対応で、会場全体静かな雰囲気で、進んでいた印象だ。

 その後3週間後の予約もスムーズに行われた。

 これだけの体制を作るのは、大変だったと思う。

・現し身のワクチン接種薫る風

 

(5日)〇第一回の新型コロナワクチン接種を受けて。

 ワクチン接種に関してさまざまなトラブルが発生していて、マスコミに取り上げられている。

 伊藤乾氏のJBプレス【各地で事故多発、ファイザー製ワクチンの正体】(2021/06/01 )の投稿記事に反響があるそうだ。続けて記事を載せている。

 わたしも閲覧し、専門的なことはよく分かないが、この度のワクチン接種に、いろいろな問題点があるとは思う。

 例えば、ファイザーの新型ワクチンは、摂氏マイナス76度の超低温で保存し、解凍したら2時間以内に希釈して接種しないと使い物にならないという、厄介な特徴を持っている。

 伊藤氏は「接種スピードを上げるというのであれば、改めて全面的に、ワクチン接種のシステムを見返す、安全性の総点検、事故再発防止の本質的な対策が必須不可欠と言わねばならないでしょう。」と述べている。

 今の段階では、できる限りワクチン接種した人が多数いることが、感染症対策として有効なのではないかと私は感じている。 

 ・ワクチンの接種受けるや梅雨長し