四季折々(日々彦の文芸欄)

日々彦の詩歌句ノート、随筆、講演、紀行文など

◎「NHK俳句」2021年3月度(日々彦備忘録)

▼3/7NHK俳句。題「あたたか」。選者・小澤實、司会・戸田菜穂。

 ゲスト・小津夜景。小澤實の好きな句「夢殿やくらげの脚をくしけづる」

「あたたかなたぶららさなり雨のふる」「ぷろぺらのぷるんぷるんと花の宵」

 ※「タブラ・ラサ(ラテン語:tabula rasa)、何もない白紙状態のこと

 

「今回の入選句」

・あたたかや子のたんこぶにつける唾 神奈川県横浜市 中川いづみ 特選一席

・あんパンを臍から割つてあたたかし 神奈川県横浜市 岡 まゆみ 特選二席

・あたたかやうんと押し出す猫車 北海道芽室町 道下いずみ 特選三席

 

「小津夜景経歴」(ウィキペディア(Wikipedia)より)

1973年、北海道釧路市に生まれる。筒井康隆に憧れて同志社大学に進む。2000年に留学で渡仏。2013年に第3回攝津幸彦記念賞準賞受賞(「出アバラヤ記」)。2016年、句集『フラワーズ・カンフー』刊行。2017年に同句集で第8回田中裕明賞受賞。

2013年頃に、装丁に惹かれて高山れおなの句集を手に取ったことがきっかけで俳句に興味をもつ。攝津幸彦賞に応募したのも審査員の高山れおなに会いたかったため。

結社などに所属せず独学で俳句を学んだが、句集刊行の前後よりその完成度に驚きをもって迎えられた。《あたたかなたぶららさなり雨のふる》《ぷろぺらのぷるんぷるんと花の宵》といった作品で、音・韻律に対する優れた感覚や、先行する句を踏まえた批評性、独特の共感覚などが評価されている。

句集『フラワーズ・カンフー』(ふらんす堂)は、俳句のほかに若干の短歌や、漢詩と俳句、散文と俳句を組み合わせた作品も収録している。田中裕明賞の選考会では、同じく散文(短編小説)と俳句を組み合わせた中村安伸の句集『虎の夜食』(邑書林)と受賞を競った。

 

 

▼3/14NHK俳句。題「引鶴」。選者・対馬康子、ゲスト・尾上右近、司会・武井壮。

・引鶴の天に抱き上げられしかな 対馬康子

(対馬説)「鶴」は長寿を象徴するものとして、特別な鳥とされている。白く大きな翼で列をなして帰ってゆく姿は、あたかも魂が帰ってゆくような荘厳さがある。

 

「今回の入選句」

・遠山は私雨(わたくしあめ)や鶴帰る 愛知県尾張旭市 小野 薫 特選一席

※「私雨」=ある限られた地域だけに降るにわか雨。

・鶴帰る身に寸鉄も帯びずして 兵庫県神戸市 上岡あきら 特選二席。

・鶴引いてより文学を志す 埼玉県吉川市 西崎久男 特選三席。

 

「こころを詠む」:それは文学の永遠のテーマでありながら、常に新しい感動を生み続ける鎮魂の思いとつながる。鎮魂には、死者の霊を鎮めるとともに、生者の体から魂が飛び去ってゆくのを抑える意味もある。(対馬説)

「各自鎮魂の句を披露」

・引鶴や一年分の古雑誌 武井 壮

・引鶴や大向うの声今や無し 尾上右近

・まだ足りぬをどり踊りてあの世まで 六代目尾上菊五郎(右近さんの曽祖父)

・光堂より一筋の雪解水 有馬朗人

 

 

▼(21日)〇3/21NHK俳句。題「雲雀」。選者・西村和子、司会・岸本葉子。

 ゲスト・鉄道写真家の中井精也「単線を照らす闇夜の花あかり」

・あるかぎり光ふり撒け揚雲雀 西村和子

 

「今回の入選句」

・陸奥(みちのく)の十年(ととせ)を俯瞰揚雲雀 寝屋川市 北川信明 特選一席

・登校も下校も一人揚雲雀 神奈川県横浜市 高橋るり 特選ニ席。

・蕩蕩と大淀嬉々として揚雲雀 大阪府枚方市 定井節子 特選三席。

・囀るといふ浮力あり揚雲雀 兵庫県西宮市 山内彩月

・揚雲雀己の声に乗りにけり 宮城県仙台市 齋藤伸光

 

『ようこそ句会へ』「吟行」。

美術館:絵の中の男に見られ春ショール 西村和子

動物園:この国に慣れしパンダの日永かな 西村和子

鉄道:春を待つ駅のホームの小花壇 西村和子

※大学を卒業する時に仲間と「卒業句集」をつくったときの句

 

 第1週・小澤實、第2週・対馬康子、第3週・西村和子は、2年間の選者を終える。4月から、第1週・片山由美子 第2週・鴇田智哉 第3週・岸本尚毅 第4週・櫂未知子となる。