四季折々(日々彦の文芸欄)

日々彦の詩歌句ノート、随筆、講演、紀行文など

◎好奇心の力「四季折々」2020年4月12日~18日)

〇病とともに「四季折々」2020年4月12日~18日)

  (12日)〇NHK俳句を見る。

 選者・対馬康子 司会・武井壮 兼題「蝶」。

 今年度のテーマ「こころを詠む」

 心の奥にひそむものを俳句に詠むことで、人は癒やされるという。

「紹介句」・蝶結びほどけば幾千万の蝶 対馬康子

・羊皮紙の見知らぬメニュー冬茜(武井壮)対馬さんが良い句として選んだという。

・涙なし蝶かんかんと触れ合いて(金子兜太)対馬さんの特に印象の濃い句だという。

「入選句」

・青空を漂ふものに蝶の骨 1席 神奈川県 福蔵

・襟正す雲より白き朝の蝶 2席 富山県 米田一毅

・美しく青筋の蝶牛の尿 3席 埼玉県 堀田福朗

 私が選んだ句 ・てふてふや首飾りして車椅子 西条市 森平美都子

 「俳句五段とばし」は楽しかった。

 元の句を1「元の句」、2「表現を整える」、3「設定を広げよう」、4「違うものと取り合わせる」、5「見えない世界へ」と、五段に亘って変えていく。

 1「元の句」・幼子の春の小さな赤い靴

 2「表現を整える」・幼子のハミング赤き春の靴

 3「設定を広げよう」・赤き靴見知らぬ街を春一日

 4「違うものと取り合わせる」・春の日の聖水こぼれ赤い靴

 5「見えない世界へ」・火は水に運ばれてゆく春の靴

  武井壮の句を3から始めて変えていく。

 3・初蝶や一頁目をかたく折り、4・初蝶やいのりの拳かたく折り、5・陽炎の一頁目をかたく折る。陽炎のところを武井壮は春雷もいいなと言っていた。

・われ眠る夢か現か蝶になり

 

(13日)○ウイルス対策の要は自分自身の免疫システムの保全であり、免疫システムの大敵は各自のストレス。

  最近は新型コロナウイルス関連の記事が多く、その中で連載「福岡伸一の新・生命探検」はウイルスがどういうものだかがある程度想像できるので、面白く読んでいる。むろん、その見解をどうこう言えるだけのものはないが、ある程度信頼している。

「福岡伸一の新・生命探検」『AERAdot』(2020.2.6)の記事の一部でこのように述べている。

【感染拡大する“新型コロナ” 福岡伸一が語る「ウイルスの基本的な生物学」】

〈またウイルス自体は宿主にとって異物タンパク質なので、これまた免疫システムの警戒網にひっかかり、抗体による攻撃やリンパ細胞による捕食によって退治される。これが速やかに進行すると、宿主の健康には特別な症状はでない。出たとしても軽症で終わる。なので、ウイルス対策の一丁目一番地は、自分自身の免疫システムの保全ということになる。

 逆に免疫システムが弱っていたり、その調整がうまくいかなかったりすると、重症化する危険性がある。もともと何らかの疾患があったり、高齢者にリスクがあったりするのはそのためだ。

 免疫システムの大敵はストレスである。ストレス時に分泌されるステロイドホルモンは身体を緊張させ、戦いや逃走に備えるが、逆にその際、免疫系は抑制されてしまうのである。〉

 福岡伸一の動的平衡論は「生命は絶え間なく分解と合成を繰り返す動的平衡の中にあり、命は流れである。食べ、生きるということは、体を地球の分子の大循環にさらして、環境に参加することにほかならない。食物とは全て他の生物の身体の一部であり、食物を通して私たちは環境と直接つながり、交換しあっている。さらに、空気も水も、あらゆるものその一部が私たちの身体を流れている。」というもの。 

 そして、(福岡伸一の動的平衡)「ウイルスという存在 生命の進化に不可避的な一部」(4月3日朝日新聞)では、親から子に遺伝する情報は垂直方向にしか伝わらないが。ウイルスのような存在があれば、情報は水平方向に、場合によっては種を越えて、立体的にさえ伝達しうるとし、ウイルスは生命の進化に不可避的な一部で、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウイルスを受け入れ、共に調和的に生きていくしかないと述べる。

・動的平衡の流れに浮かぶ飛花落花

 

(14日)〇「10MTVオピニオンプレミアム」の利用を始めている。

 緊急事態宣言が出てから10MTVオピニオンプレミアムを1カ月(31日間)は完全無料なので、どんなものかインターネットで利用している。

 今のところ、信頼している長谷川真理子の「ウイルスの話」(3回シリーズ)、「知性の進化と科学技術文明の未来」(3回シリーズ)、「ヒトの進化史と現代社会」(4回シリーズ)、『サピエンス全史』(4回シリーズ)など動画およびテキストを閲覧して、語り口が丁寧で、とても面白い。

 一話10分ぐらいで、3回シリーズで30分。その分野の基本的な話だが、さまざまなことを考える糸口に刺激を受ける。

 どんなことでもある程度つかむのは、それなりの情報が要り、それをかなえるのにある程度適度な量かも知れない。

  専門家がその業界だけで通用する専門用語をあまり使わずに、簡潔な言葉で要点をまとめ伝えるのは、かなりの力量がいると思うが、長谷川真理子にそれを感じる。

 このサイトは100名以上の講師の一覧が掲載されているが、ほとんど業績も名前もよく知らない人が多い。何となく魅力に乏しいきらいはあるが、それでも3~4名ぐらい読んでみたいなという人があり、テーマを見て読んでみようと思っている。

 今は図書館が閉まっているので、本を借りることができないが、このような機能も面白いので、しばらく利用してみようと思っている。

 しかし、100名以上の講師の一覧が掲載されているが、ほとんど業績も名前もよく知らない人が多い。何となく魅力に乏しいきらいはあるが、それでも3~4名ぐらい読んでみたいなという人があり、テーマを見て読んでみようと思っている。

 今は図書館が閉まっているので、本を借りることができないが、このような機能も面白いので、しばらく利用したいと思っている。

 https://10mtv.jp

 ・春うらら情理を尽くす語り口

 

(15日)〇人間だけが大人になっても「学び」を持続できる。

「10MTVオピニオンプレミアム」の長谷川真理子「人間だけが大人になっても『学び』を持続できる」の要旨は次のようになる。

〈進化的に考えると、「学びたい」気持ちや好奇心は子どもの持つ特質である。禁止されても学びたがり、物事の「なぜ?」を知りたくなる。子どもは知識欲に飢えているということだ。ところが成長し、大人になるにつれて好奇心が薄れ、現状維持へと向かおうとするのは、人間も動物も同じことである。ただそれでも人間だけが好奇心を持ち続け、学びへの意欲を持ち続けるという。

 この原動力はどこから生まれてくるのか。それはやはり「知りたい。説明したい」という欲求によるもので、知ることが楽しく、適切な説明ができると感じることが楽しく心地いいからだろう。一方、環境は日々変化していくため、それに適応するよう学び直しなどしていく必要があることも事実だ。それでも人類の根源的特徴として、「知りたい。説明したい」という欲求は存在する。〉

  孫を見ていると、「学びたい気持ちや好奇心は子どもの持つ特質である」ことは痛烈に感じる。そして私にもその欲求が強くある。

 ・若者の素直な「なんで」雪解光

 

(16日)〇うがいの正しい方法と手順。

「緊急事態宣言の中で、工夫しながら暮らしている」との記録をFacebookに投稿したとき、友人から次のコメントがあった。

〈うがいをする時は、ガラガラ〜と喉をする前に、口の中をクチュクチュぺっとするのがいいそうです。〉

 聞いたことはあったが、特に意識していなかったので調べてみた。

 うがいの正しい手順と方法と検索するといろいろ出てくる。

 ポイントは次のよう。

①コップに水もしくはぬるま湯を用意する。※手洗いをして、コップは清潔なもの。

②口に半分くらいの水を含んで、上を向かず正面を向いたまま口の中の食べかすなどを流すために1~2回ゆすぐ(グチュグチュうがい)

③口に半分ぐらいの水を含んで、今度は顔を上に向けて、口を開けながらのどの奥までゆすぐ(ガラガラうがい)※この時「オー」と発声すると喉の奥まで水分を届けられるという。 概ね15秒×2回程度行えばうがいは完了。

  これは大事と思ってやっていることはいろいろあるが、結構いい加減にやっていることが多いのではと思う。

 なんでも正しい方法と手順、きちんとした方式を身につけるのが重要だと思った。

 ・クチュクチュペッガラガラうがい水温む

 

(17日)〇松本大洋『鉄コン筋クリート』を読む。

 緊急事態宣言などにより、いつも利用する図書館が閉鎖されている。

 最近本はまったくと言っていいほど買わないので、ほとんど図書館を利用している。

 だが、引っ越しのときに大部整理したとはいえ、これは残したいなというのはあり、それを読み返していると、違った角度でとらえることができるものもあり面白い。

  中に、どういうわけか漫画本で唯一残っていた松本大洋『鉄コン筋クリート』3巻本があり、読み返すと、めちゃくちゃ凄まじい。

  本書はヤクザやチンピラ絡みの暴力沙汰が絶えない「宝町」という街を舞台に、2人の孤児「シロ」と「クロ」が互いに無い部分を補い合って生きる姿を描く。

 舞台となる宝町の世界観が独特かつどこか懐かしい雰囲気を持った街であり、登場人物の個性もまた強烈に人間味にあふれている。

 現実世界と幻想の世界の交錯、心理描写の「画力」の巧みさを含み、今にも動き出しそうな繊細な白黒のメリハリが効いたタッチで、変貌自在にコマが展開する。

  人並み外れた身体能力を持つ気性の荒い「クロ」が、純粋で人懐っこい性格の「シロ」の面倒を見て守っているようだが、街の長老「源六じっちゃ」に、

〈アノ子「シロ」はお前が考えてるよりずっと強い。そしてお前さん「クロ」は自分で思ってるほどたくましくないぞ。----ワシの目には今までずっとお前がシロに守られてきてるように映るが違うか?〉

 物語はそのように展開する。

  また、どの人にも陰陽両面があるのだろう。「クロ」と「シロ」が一人の人間の両面のように思えてくる。一見すばしこく強い「クロ」が一見無垢で弱々しい「シロ」に守られていた物語のような気もする。

  そして、少し飛躍するが、自分の中の心身の弱い部分への自覚が、自己および社会の見え方を支えている、包んでいるということも感じている。

 ・弱き人のこころの広さ水草生ふ

 

(18日)〇漫画、コミックの大きな特質

 松本大洋については、お母さんの工藤直子詩集『こどものころにみた空は』の絵を担当していて、独特の筆致に魅力を覚えた。

  漫画を読む習慣はなかったが、興味をいだいて、児童養護施設で暮らす子どもたちを描いた漫画「Sunny」を読んだ。松本大洋自身、数年間施設で生活した経験があるそうだ。

 一つ一つのセリフを含めた心情描写はリアルそのもの。それぞれが事情を抱えて、親元から離れて生活する『星の子学園』で、いろんな経験を糧に成長していく子どもたちの姿は、絵の力も伴ってグイグイ迫ってきた。

 また、『星の子学園』の子どもたちの親への対する複雑な感情の動きをリアルに描かれた作品で、とても印象に残っている。

 漫画、コミックエッセイの大きな特質は、一つのコマに、絵柄や「吹き出し」「地の文」を効果的に配置することで、立体的に、視覚、触覚などの五官に迫ってくることにある。「吹き出し」「地の文」は登場人物の生の声、内面の声、第三者の視点からの声などで、輻湊的、複眼的なコマに仕立て上げる。そのコマを連続的に読んでいくうちに、その物語の世界にぐいぐい引き込まれていく。

 それほど読んでいないが、井上毅彦や松本大洋はそれらを生かした「画力」と心理描写に魅力を覚える。

・ウオーキング春の息吹を身に纏い